開発ブログ · #05

バグは2つで止まった。注文は止まらない。

公開 2026-10-16著者 藤原 寛倫
岩本健汰のサイト kentaiwamoto.com
岩本健汰のサイト kentaiwamoto.com

前回の最後に、最初のお客さんがくれたのはバグレポートだった、と書きました。

正直に言うと、もっと来ると思っていました。実際に来たのは、2つくらいです。それを直したら、もう来なくなりました。

ここまでちゃんと作ってきたんだな、とそこで改めて思いました。

でも、止まらなかったものがあります。岩本からの「ここを直してほしい」です。

岩本のサイトの更新情報。ほぼ毎日、何かが変わっている
岩本のサイトの更新情報。ほぼ毎日、何かが変わっている

人を入れると、急に緊張する

岩本はとにかく動きが速い男です。サイトが動き始めると、すぐに Patreon の会員にも見せて選んでもらう話になりました。それが前回のメールです。

45日間は無料。こちらにとっても、SubPro が本当にちゃんと動くかを確かめるベータ版の期間なので、無償でやらせてもらいました。

実際に人が入ると、空気が変わります。自分ひとりで触っていた時には見えなかった「やるべきこと」が、急に並び始める。

プレイヤーもかなり直しました。

  • YouTube のように、動画の上を指で横になぞると細かく送れて、時間も出るように
  • スマホの戻るボタンで、ライブラリを一つ前の状態に戻せるように
  • 動画のタイトルの文字を大きく(岩本いわく「1.3倍くらい」)

見る目が変わった。だからアプリを作った

人が入ってから、自分の見る目も変わりました。

SubPro はブラウザで動くサイトです。ブラウザで動くからこその不満も、見えてきました。

たとえばオフラインで見たい人がいる。道場の更衣室や移動中は、電波が弱いこともあります。ブラウザ版でも、ホーム画面に追加してアプリのように使う方法(PWA)はあります。でも、それには会員が自分でひと手間かけないといけない。案内しても、みんながやるわけではありません。

だったら、最初からアプリがあった方がいい。そう思って、急いでアプリを作り始めました。

アプリの特徴は2つです。

  1. オフラインで見られる。 ダウンロードしておけば、電波のないところでも見られます。
  2. SubPro プレイヤーがそのまま動く。 ブラウザ版と同じプレイヤーを、アプリの中で使えます。

アプリ自体はすぐにできました。時間がかかったのは、そのあとです。ストアの審査を通すのが初めてで、そこで足止めを食いました。

今、Android 版は Google Play に出ています。iPhone 版は、まだ Apple の審査待ちです。提出から10日以上経っていますが、なかなか進みません。

Google Play の SubPro Player。iPhone 版はまだ審査待ち
Google Play の SubPro Player。iPhone 版はまだ審査待ち

4話で諦めた吹き替えを、結局出した

字幕と吹き替えについては、岩本から何度も注文が来ました。

前回、吹き替えは限界があるので字幕でいく、と書きました。あのあと、結局吹き替えも出しました。今、英語の吹き替えがついた動画は380本を超えています。

CC メニュー。字幕は日本語か英語、音声は元の日本語か英語の吹き替え
CC メニュー。字幕は日本語か英語、音声は元の日本語か英語の吹き替え

同じ内容を日英で2本撮っていることも多いのですが、片方の言語しかない動画もある。その場合は、反対の言語の字幕と吹き替えを入れることにしました。

精度を上げるために、いちばん効いたのは辞書でした。SubPro がもともと持っている辞書に、岩本の辞書を足した。誤変換されている箇所を全部洗い出してもらって、「この言葉が来たら、こう直す」という対照表を作ってもらいました。

会員が直すと、全部に効いていく

この辞書は、岩本ひとりで作るものではありません。

会員が動画を見ていて「ここ、実はこう言ってるはずだよね」と思ったら、その場で直せます。直したものは、自動で字幕に反映されます。

これは、SubPro の仕組みの中で僕が一番大事だと思っているところです。僕はユーザー・ジェネレーテッド・コンテンツと呼んでいます。

この先、いろんな人が、いろんなチャンネルで SubPro を使う。そのたびに誰かが字幕を直す。字幕と吹き替えは定期的に作り直すので、直された分だけ精度が上がっていく。

今の時点でも、岩本ひとりのチューニングだけで、岩本のネイティブの耳で聞いて90点以上だそうです。

非英語圏の人が、英語圏に届けられる。英語圏の人が、非英語圏に届けられる。その仕組みが、もう動いています。僕が知る限り、まだほかにはない仕組みです。

グラップリングの教則だけに使うつもりはありません。もっといろんな用途があるはずなので、これからも磨いていきます。

毎日の「ここ直して」

岩本からの「ここ直して」は、ほぼ毎日来ます。今も続いています。

そして、どれも本当に、自分では絶対に気がつかないところです。

岩本のサイトを出してから、そろそろ1か月になります。45日の評価期間も半分を過ぎました。今の数字を出しておきます。アカウントは242。一度でも動画を見た人は58人。そして、お金を払って会員になってくれた人が、もう13人います。

次の2人

1か月も経つと、サイトはいろんな人の目に触れます。そこで僕は、国内のほかの柔術家やグラップラーにも、岩本健汰もやっていると添えて声をかけ始めました。

今、やってみたいと言ってくれている人が2人います。

1人は、サイトがほぼできています。ここからコンテンツを作っていくところです。非常に有名なグラップラーです。

もう1人も、日本を代表するような柔術家です。

岩本の注文で鍛えられたものが、そのまま次の人のサイトの土台になる。この2人に続いてもらって、そこからさらに広げていきたい。今はそう考えて動いています。

次回

ただ、ここで僕はもう一つ、別のことに気づいてしまいました。

SubPro はサブスクリプションのために作ったものです。でも世界の教則のシーンを見ていると、まだサブスクより単品売りの方が多い。

次回は、その話です。

英語版は Substack で公開しています。

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